事業承継は、会社の未来を左右する経営上の重大局面です。後継者への株式移転、贈与税・相続税への対応、各種手続きと申請……やるべきことが多く、「何から手をつければいいかわからない」「今の税理士で本当に対応できるのか」と不安を感じている経営者の方も多いでしょう。
本記事では、事業承継において税理士が担う役割・依頼するメリット・費用の目安・税理士の選び方を解説します。
事業承継とは?定義と主な手法
事業承継とは、経営者が培ってきた事業・資産・経営権を後継者に引き継ぐことを指します。中小企業庁の定義では、承継の対象は「人(経営)の承継」「資産の承継」「知的資産の承継」の3つに整理されており、主な承継手法としては、以下の3つがあります。(中小企業庁「事業承継を知る」)
- 親族内承継:子や配偶者など家族に経営権・株式を引き継ぐ
- 役員・従業員承継:社内の幹部や従業員が後継者となる
- M&A(第三者承継):社外の第三者や別会社に事業・株式を譲渡する
どの手法を選択するかによって、税務上の処理・必要な手続き・費用が大きく異なります。そのため、早い段階から税理士に相談し、自社の状況に合ったスキームを設計することが重要です。
事業承継で税理士が担う具体的な役割
事業承継は税務・法務・財務が複雑に絡み合うプロセスです。税理士はその中で、以下のような役割を担います。
① 自社株式の評価
後継者に株式を移転する際は、まず自社株の評価額を算出する必要があります。評価方法には「類似業種比準方式」「純資産価額方式」などがあり、どの方式を適用するかによって贈与税・相続税の課税額が大きく変わります。適切な評価を行うには、税法上の知識と実務経験が不可欠です。(国税庁「No.4638 取引相場のない株式の評価」原則的評価方式)
② 事業承継税制(特例措置)の活用支援
要件を満たす場合、後継者が取得した自社株式にかかる贈与税・相続税の100%が納税猶予の対象となる「法人版事業承継税制(特例措置)」が利用できます。(国税庁「法人版事業承継税制特集」法人版事業承継税制)
ただしこの制度は適用要件が複雑で、特例承継計画の都道府県への提出(令和9年9月30日まで)や、承継後の継続届出など、継続的な手続き管理が必要です。税理士なしでの対応はリスクが高く、専門家の関与が強く推奨されます。
③ 承継スキームの設計と税負担シミュレーション
贈与・相続・株式譲渡のどの方法が最適かは、後継者の属性・株価・会社の財務状況・経営者の意向によって異なります。税理士はこれらを総合的に踏まえ、税負担と手続きのバランスを考慮したスキームを提案します。
④ M&A・第三者承継における税務対応
第三者への事業譲渡・株式譲渡では、法人税・所得税・消費税など複数の税目が絡みます。各税目の処理を誤ると申告リスクにつながるため、税理士の関与が重要です。
税理士に依頼するメリット
事業承継を税理士に任せることで、経営者が得られる主なメリットは以下の通りです。
まず、税負担を最小化するための承継スキームを専門家が設計してくれることです。自社株評価の方法ひとつで課税額が数百万〜数千万円単位で変わるケースもあります。早期に税理士と連携し、評価額の引き下げ対策や最適な移転方法を検討することが、長期的なコスト削減につながります。
次に、事業承継税制などの優遇措置を適切に活用できることです。特例承継計画の作成・認定支援機関(税理士を含む)の関与・都道府県への申請・承継後の継続届出まで、一連のプロセスを伴走してもらえます。
また、記帳・決算・申告など日常の税務に加えて承継に関する相談も同一の専門家に任せられれば、情報の分断がなく、より精度の高いアドバイスが得られます。承継後の経営体制が固まったあとも、月次の税務サポートを継続して受けられる体制が理想です。
税理士への依頼費用の目安
事業承継に関する税理士費用は、業務範囲・会社規模・スキームの複雑さによって大きく異なります。以下はあくまで参考の目安であり、実際の費用は税理士事務所への個別見積もりで確認することをおすすめします。
- 自社株評価・税負担試算:10万〜30万円程度
- 事業承継税制(特例措置)の申請サポート:30万〜100万円程度(継続届出対応含む)
- M&A・第三者承継サポート:数十万〜数百万円(案件規模による)
また、これらは承継に関するスポット費用で、承継後の顧問契約(月次税務・決算申告)は別途発生します。そのため、承継前後を通じたトータルコストを比較することが重要です。
事業承継に対応できる税理士の選び方
重大な意思決定が不可欠となる事業承継。だからこそ、以下の観点から税理士を選ぶことをおすすめします。
① 事業承継・相続税の実績があるか
事業承継は通常の顧問業務とは異なる専門知識が必要です。自社株評価・事業承継税制・M&A税務など、類似案件の経験があるかを確認しましょう。
② 認定経営革新等支援機関(認定支援機関)であるか
事業承継税制の特例措置を活用するには、特例承継計画の作成に際して認定経営革新等支援機関の指導・助言が必要とされています(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則に基づく)。税理士が認定支援機関として登録されているかを確認してください。
③ 承継後の税務サポートまで一貫して対応できるか
承継はゴールではなくスタートです。承継後の月次税務・決算申告・経営数値の管理まで継続してサポートしてくれる税理士を選ぶことで、新体制での経営がスムーズになります。
④ 費用体系が明確で、説明が丁寧か
事業承継に関わる費用は高額になるケースもあります。初回の相談段階で業務範囲・費用・追加費用の条件を明確に説明してくれる税理士を選ぶことが、後々のトラブル防止につながるでしょう。
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また、既存の税理士からの切り替えにも対応しており、承継前に信頼できる税務の体制を整えたいと考えている方には、とてもフィットしたサービスと言えるでしょう。
まとめ|事業承継の成否は、税理士選びと準備の早さで決まる
事業承継は、税務・法務・財務といった複雑なプロセスが絡み合うもの。そのため、適切な税理士のサポートがあるかどうかで、税負担・手続きの円滑さ・承継後の経営安定性が大きく変わるとも言えます。承継を検討しているなら、まずは専門家への相談から始めてみてはいかがでしょうか。
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